スクリーン交換

 以前D60に「スクリーン交換の定番」ミノルタM型を入れてみたことがある。ところが僅かにピントが合わず、断念してしまった。現在D60には Talberg を入れてある。
 SD10の場合は、対応する Talberg スクリーンは発売されていない。そこで、EOS-1 用の Talberg を削って入れた。これまたピントが合わなかったが、何とか使えるよう頑張った。
 SD10に Talberg を入れるのは非常に大変であり、誰にでも薦められるものではない。しかし敢えて最後までやった。D60にM型入れた時はあっさり諦めて元に戻したが、SD10に Talberg は何としても入れたくなったのだ。それは、Talberg の性能が凄まじいからに他ならない。
 M型は確かにD60やSD10純正のスクリーンに比べるとピントの確認が簡単だが、それはあくまで「ベターである」に過ぎない。これに対し、Talberg を入れると「別のカメラになる」
 次元が違うのだ。

スクリーンを削る

 ダストプロテクターを外し、スクリーンを固定している金具を外す。
 手前から押すようにして2つの爪を外すと、簡単に持ち上げて外せる。
 EOS-1 用の Talberg にマスキングテープを貼り、一部を削る。
 右がSD10オリジナルのスクリーン。スポーツファインダーのマスク部分は別パーツではなく、スクリーンと一体化している。
 ガラス製の Talberg を削るのは、ダイヤモンドヤスリが必要となる。
 ヤスリ自体は意外に安価なのだが、作業には電動工具が必須となる。理論上は手で削ることも可能だが、最後までやり遂げられる人間はほとんど居ないだろう (^_^;)
 SD10にセットするためには、4カ所削らねばならない。
 ただ、スクリーン周辺部は使用されないため、少々傷が付いても問題がない。そのため、加工は非常に簡単だ。
 必要な工具さえあれば、10〜20分で終わってしまう。

 「Talberg を削る」と聞くと、かなり大変に思える。削ってしまうともう殆ど終わったような気分になる。
 しかし実際にはこれで作業の5%が済んだに過ぎない。本当に大変な残り95%の作業は、これからなのだ!

スクリーンをマスクする

 SD10ではスクリーン周辺を使わない。そのため、削り加工は少々いい加減でも構わない。
 ところが、スクリーンのマスクの方は、そうは行かない。正確にマスクしないと、風景写真が傾いて撮れたり正確なフレーミングが出来ず一眼レフである意味が無くなってしまう。
 0.1ミリ単位の塗り潰しに失敗すると、一気にカメラの価値が無くなってしまう。はっきり言って、どうやればいいのか良く分からない。果てしない試行錯誤が続いた (;_;)
 試し撮りはデジカメなので容易に出来るが、塗るたびにスクリーンを外さないといけないのだ!

 皮算用では、マスキングテープを貼り直して境界を出し、油性マジックで塗ればOKと思っていた。
 ところが、マット面はざらざらなので、インクがテープに染み込んでしまう!
 アルコールで洗う羽目になり、それでもざらざらなため綺麗にはならず・・・(;_;)
 もう書く気力も失せるほどの苦労の末、こんなものが仕上がった。
 スクリーンを削る20倍は大変だったと言っておく。
 周辺部は汚れてしまい、かなりげんなりする。

 側面も黒塗りしてある。光の関係だけでなく、削り粉を塗り込めてしまおうって意図でもある。

 しかもSD10にセットすると前ピンになってしまう。ガラスの屈折率はプラスチックより大きいが、素材次第ではほぼ同じに出来る。しかしやはり Talberg の方が厚いのだろう。
 マット面はペンタ側にあるのが幸いだが、それでも素材厚による焦点変化は起きてしまう。
 135フルサイズなガラススクリーンは重いため、ミラーショックで一部が浮き易いことも判明。そして一部が僅かに浮いただけで、使い物にならないほどの前ピンとなる。

 そこで、テープで3辺を固定し、全く浮かないようにする。
 この上からオリジナルの金具を戻して完成した。
 オリジナルではスクリーンの下にコの字の金属パーツが敷いてあるが、Talberg では使用しない。

 ここまでしなくても、Talberg 開発者の谷山さんはSD10用にも前向き。しかし、メーカーではなく個人レベルの生産なので、開発には非常に時間が掛かるようです。
 極めて要望が多かった D30/D60 用も、1年ほど掛かっています。SD用は製作が難しいこともあり、そうそう2ヶ月3ヶ月で登場することはないでしょう。やはり1年は掛かると思われます。
 見てくれの悪い改造品であっても、1年早く Talberg を使えるのは大きい。その1年に、スクリーンが Talberg だからこそ撮れた!って被写体は数多く登場するはず。

使い心地

 僅かな前ピンになる。MFでピントを合わせてシャッターボタンを半押しすれば、フォーカスエイドの合焦音がする程度の微妙な前ピンである。
 被写界深度の前側ギリギリって感じである。しかし、かろうじて使い物になっている。後ピンに比べればまだ対処出来る。必要に応じてフォーカスエイドを併用すれば十分だ。
 特に、無限遠がちゃんと合っている。AFと勝負してみたが、遠景の風景でAFが僅かにピントを外しても、MFだとピタリと合わせられる。
 前ピンと言っても、そんなレベルである。オリジナルのスクリーン使うよりは遙かに使いものになるため、見た目は周辺が汚れた (;_;) ファインダー視界にも関わらず、もうオリジナルには戻せない。
 雲1つ無い青空に白線を描く飛行機・・・なんてシーンもMFでドンピシャ決められる。
 苦労の甲斐あって、風景が傾いて撮れることもない。個人的には飛びモノを追う場合などスポーツファインダーは気に入っていただけに、油性マジックで完全に塗り潰したのは心残り。しかしスポーツファインダー嫌いな人にとっては、こっちの方が良いかも。暗い場所では完全マスクの方が構図を決め易いのも確か。

 Talberg のメリットはピント検出性だけではない。ボケがリアルなのだ。
 純正スクリーンは僅かなボケが分かり難い一方、思い切りボケた部分は実際の写りとかけ離れたボケ方をする。このため、プレビューボタンで絞ってもファインダー上での見え方はロクに参考に出来ない。しかし Talberg だとかなりリアルに見えてくれる。実はこれがピント合わせ易さ同様にショッキングだった。
 これまでいかにいい加減なスクリーン使わされていたかを認識した。
 まさに、百聞は一見にしかず、である。

 メーカー純正スクリーンがMFし難いのは、明るさ優先ってのが大きい。明るいスクリーンはピント合わせし難い。つまり、Talberg は暗いのだ。
 明るい単焦点レンズ派には向いているが、ズームを多用するなら薦められない。昼間は無敵だが夜は合わせ難い。しかしAFと併用したりフォーカスエイドを使えば夜もOKだ。
 自分の場合はEFマウント改造によりD60で愛用した明るい単焦点を持ち出すのを見据えての Talberg でもある。

 Talberg 使うとMFが楽しくなる。AF使う機会が激減である。
 高速のAFで大雑把に合わせ、遅いが正確なMFで微調整・・・フルタイムMFってのも、ピント合わせし易いスクリーンあってこそ威力を発揮する。プレビューはリアルにボケるスクリーンあってこそ意味を持つ。
 合焦点が把握出来るスクリーンでMFを使うと、コサイン誤差を気にせずそのままの構図でポートレイトだって撮れる。AFポイントで合わせてコサイン誤差を気にしつつ視野を動かしシャッターを押す。またAFを合わせて・・・なんてやってられませんぜ。だからMFし難い純正スクリーンで必死で人間フォーカスブラケッティングなどやってたのが、Talberg なら確信を持って合焦点付近を集中爆撃出来る。ヒット率が変わる。
 つまり、Talberg 使うってのは、ボディー性能がワンランク上がるようなものだ。これは使えば実感出来る。
 EOS-1 用の Talberg は13500円である。加工の凄まじい手間も考えれば、これを現時点でSD10で使うには実質2万円ほどのコストになる。スクリーン1枚に2万円!

 だが、SD10ユーザーなら考えて欲しい。
 もし、「2万円出せばボディーをワンランク上のものに交換してあげますよ」と言われたら、どうします?

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