SIGMA SD10 現像ソフト dcx3

開発目的
 SDシリーズにはSPP (Sigma Photo Pro) という非常に使い易いソフトが付属しており、SDユーザーは全員が無料で使用可能です。したがって、SPPと同様のソフトを自作しても意味がありません。
 dcx3は、SPPではうまく現像できないX3Fファイルを現像するためのものです。決して、SPPの代用として使うためのものではありません。SPPが現像に失敗するX3Fの多くは dcx3 で救えますが、逆にSPPが問題なく現像出来るX3Fが dcx3 ではおかしくなることも結構あります。
 しかし、dcx3 はあくまでSPPの補助であるから、SPPでちゃんと現像出来るX3Fは dcx3 で現像に失敗しても構わないと考えています。

 dcx3は、ハイライトの描写に特化しており、シャドウの描写は苦手です。ノイズもSPPより多いです。したがって、アンダーなX3FをSPPで現像し、オーバーあるいは色飽和が発生しているX3Fをdcx3で現像する、という使い分けを想定しています。
 アンダー画像をdcx3で現像しても大抵は満足に仕上がりません。SPPをご利用下さい。

 SPPと全く異なるチューンを行ったことにより、併用した場合の効果が大きくなります。つまり、「ちゃんと仕上がるX3Fの割合」がぐっと増えるのです。
 これまで、フォビオンは「当たった時は」最強だが使いこなしが非常に難しいとされて来ました。SPPで外れたX3Fファイルをdcx3で救うことにより、フォビオンが「当たる確率」がアップします。
 これによりフォビオンの評価もアップすれば、大変な苦労をして作った意味もあったというものです。

レタッチソフトではない
 dcx3は現像のみを行うソフトであり、レタッチは別のソフトに任せます。
 通常はSPPを使用し、SPPでうまく仕上がらない少数のX3Fだけを現像すると想定しています。また、必ず別のソフトで「仕上げ」を行うと想定しています。
 このため、「現像は非常に時間が掛かる」上に、「出力は16ビット(以上)/チャンネルのみ」となっています。
 徹底的に素材性を重視し、必要に応じてハイライト・シャドウの切り詰めやトーンカーブ、コントラスト調整は別途行うという前提により、あらゆる情報を切り捨てずに取り込んで出力します。出力の無難さよりも情報を欠落させないことを最優先しているため、場合によっては見た目おかしな部分が発生することもあります。
 当然のごとくコントラストの低い画像が出力されるため、トーンカーブを使いコントラストを上げて仕上げて下さい。

制約

・Windows専用

 電飾補完フィルター同様の「コマンドアプリ」です。Windowsのコマンドラインからの実行です。GUIなんて気の効いたものはないです(GUIなんぞ作ってたらシェアウェアにしないとやってられません (^_^;)

・16ビット/チャンネル以上専用
 あくまで現像ソフトであり、レタッチ用の素材を出力します。8ビット/チャンネルではレタッチ耐性上の問題があるため、対応しません。
 16ビット/チャンネルまたはそれ以上の精度でトーンカーブ調整等が行えるレタッチ用ソフトが別途必要です。

・SD10専用
 SD9のX3Fも現像は可能ですが、調整を手持ちのSD10で行ったため、想定した性能がSD9で出せるかどうかは不明です。自分はフォビオンの技術資料を入手できる立場ではないため、これに関してはどうしようもありません。

・HI専用
 解像度2268*1512のみに対応します。MIDやLOWサイズは現像できません。

・sRGB専用
 出力色空間はsRGBのみです。プロファイルの埋め込みも行われません。プロの道具としては使い物にならないですね 。
 AdobeRGBがあったとしても、どっちみちプロが使える現像速度ではありません(汗)

SR現像
 dcx3は名前の通り、有名なフリーのRAW現像ソフトdcrawを元にしたものです。
 dcrawからフォビオン現像に関する部分だけを取り出して、大改造を行いました。
 dcrawの現像法を大幅に改良し、色再現性のアップと暗部描写の改善を行いました。それでも暗部ノイズはSPPより遥かに多いです。正直に言ってSPPのノイズリダクションは凄まじいものであり、どうしてたったこれだけの情報からあんな絵が再現出来るのか分かりません。
 アンダーな画像はSPP絶対のお薦めです。
 このdcraw改良部分を、「S現像」と呼んでいます。

 これに、オリジナルの「R現像」を別に行い、2枚の画像を合成して出力しています。R現像はハイライトにおける色再現に特化した特殊な現像法であり、フォビオンの弱点として扱われて来た「飽和時の描写崩壊」をほぼ完璧に押さえ込みます。
 その代償として、非常にノイズが多いです。

 ノイズは少ないがハイライトの描写が信用できないS現像と、ノイズは多いがハイライトの描写が得意なR現像を合成する。そう、フジのハニカムSRですね (^_^;)
 ハニカムSRになぞらえて、SR現像と称しています。
 これにより、暗部ノイズはともかくとして、ダイナミックレンジに関してはフォビオン本来の性能をフルに引き出します。X3Fファイルによっては、センサーがフォビオンSRとでも呼べるものに変わったかのような仕上がりが得られます。

 内部処理は極めて複雑であり、結果として現像時間は非常に長くなっています。非力なパソコンでは使い物にならないです (^_^;)

ダウンロードはこちら (738 KB)

使い方

-l リニア現像(小文字のL)
 色分離もガンマ調整も行わず出力します。当然ながら高速です。
 モノクロ写真の作成や、 Lab合成のL画像、あるいは壊れた特定チャンネルのレタッチ補修材に使えます。
 ホワイトバランスを指定しても無視されます。
 dcx3 -l img01234.x3f

-s S現像のみを行います
 原色(特に黄色)の服や花を高彩度のまま現像したい場合などに効果的です。
 dcx3 -s img01234.x3f

-f 輝度のガンマを補正します
 正数を指定すると、輝度のガンマを色のガンマより大きくします。
 負数を指定すると、輝度のガンマを色のガンマより小さくします。
 「全体的に」Fill Light を指定したような仕上がりになります。
 dcx3 -f 1.2 img01234.x3f

-g 緑のガンマを補正します
 グリーンかぶりしている場合、1.0 より小さな値を指定します。
 マゼンダかぶりしている場合、1.0 より大きな値を指定します。
 dcx3 -g 0.9 img01234.x3f

-r ホワイトバランス(下層)調整
 赤(下層)の調整を行います。デフォルトは 1.0 でこれがデイライト。
 目安はタングステンが 0.9
 西日の場合などは 0.94〜0.98 あたりで調整します。
 -r と -b の両方を指定することも可能ですが、余りうまく仕上がりません。
 dcx3 -r 0.96 img01234.x3f

-b ホワイトバランス(上層)調整
 青(上層)の調整を行います。デフォルトは 1.0 でこれがデイライト。
 目安は曇りが 0.95 日陰なら 0.9
 人肌が黄色くなる場合は補正を抑えめにします。
 -r と -b は 1.0 以上も可能ですが、1.0 未満で指定し使い分ける方が概してうまく仕上がります。
 dcx3 -b 0.95 img01234.x3f

-i イルミネーションモード
 微小光点の近辺に偽色が目立つ場合に指定します。
 電飾に最適化した現像を行います。しかし、画質は低下するため、通常の現像で満足な仕上がりが得られる場合は(イルミネーションを写した場合でも)このモードを使用しないで下さい。
 dcx3 -i img01234.x3f

-3 16ビット/チャンネルの psd ファイルで出力(フォトショップなど)
-4 16ビット/チャンネルの ppm ファイルで出力
-5 16ビット/チャンネルの tiff ファイルで出力(デフォルト)
-6 32ビット/チャンネルの fits ファイルで出力(ステライメージなど)
 dcx3 -r 0.94 -3 img01234.x3f

フォビオンセンサーの厄介さ

 

同一X3Fを現像

SPP 低コントラスト現像法 dcx3
 SPPで青紫を出すには低コントラスト現像法を使わねばならない。普通に現像すると、単なる青い花になってしまう。
 低コントラスト現像法を使っても、赤茶色の花は単なる赤い花にしか見えない。
 夜景で、そこら中が黄色くなって悩んだことはないだろうか?
 dcx3なら一発で解決する。
 上の黄色い花でも分かるが、SPPはハイライトが滑らかに飛んでくれない。
 露出オーバーで赤が飛んだ紅葉。しかしX3Fファイルを捨てるには及ばない。
 dcx3を使えば、シアンフィルター無しでも描写は崩壊しない。

 アンダーに撮ってトーンカーブ持ち上げて・・・はdcx3の場合は有害です。ノイズ多いので。
 適正露出で撮って、何も考えず現像、レタッチソフトでトーンカーブ調整。これで仕上がります。

 

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