SD10 による電飾撮影

 当たった時の画質は無敵とも言われるフォビオンセンサー。しかし、外れた時の悲惨さもまたユーザーなら知っている (^_^;)
 外れることの多い代表が、夜景撮影。SD10 では SD9 に比べて改善されたと言われたものの、新しい問題も発生、一筋縄では行かない。

 

最悪の被写体

 これまで撮った中でも最悪の外れ方するのは、電飾(イルミネーション)。撮った瞬間ゴミ箱行きである。
 こんな凄まじい絵は、他のデジカメじゃまず拝めない。 

 電飾が強烈なピンク色の光点に!
 最初は何が起きたのか分からなかった。

18-50mm F3.5-5.6 DC
F8.0 0.6s @23.0mm

 ピクセル等倍で一部を切り出したもの。
 普通のデジカメでは、あり得ない絵である。

 RGB3色分解してみた。
 これはR(赤)チャンネル。
 見たことろ、全く問題はない。
 人間の目の感度が高く、最も重要なG(緑)チャンネル。
 妙に電飾が暗いばかりでなく、殆ど消灯しているように見えるものまである。
 電飾の明るさが揃っていない。
 これがB(青)チャンネル。
 やはり電飾の明るさにムラがあり、しかもGが暗いからBも暗いと言った相関関係も薄そうである。

 どうやらRはちゃんと写っているのに、GとBがおかしくなってピンクや黄色の点が出ているようだ。
 これは極端に酷い描写となった例だが、他にも少し首をかしげる絵が撮れることがあり、いずれも3色分解するとRチャンネルだけは極めて自然な描写である点が共通している。

 フォビオンの原理図では、RGBそれぞれが異なる層に吸収するかのように見える。しかし実際には、中層はRとGを、上贈はRGB全部を吸収するようである。フォビオンセンサーが発表された当時、「原理は分かっていたけど実用化は不可能だと思った」って声があったと記憶している。
 つまり、実際に作ると上層で全色が吸収されてしまう。
 フォビオンの詳細な構造は分からないけど、最下層にはRしか到達しないからRだけは正確に取得出来るのではないか。そして、中層はR+Gが吸収されるが、Rの値は分かっているのでGの値が分かる。これでRとGの値が分かるから上層からBを分離出来る・・・

 Rが上層や中層でどの程度の割合が吸収されるか。Gが上層でどの程度の割合が吸収されるか。そのデータを元に分離計算を行っており、強烈な点光源でRが飽和するとRの本来の強さが不明となりGひいてはBの分離計算が正確に出来なくなるんじゃなかろうか?
 どんなに描写が崩れていてもRチャンネルは崩れないことで、以上の仮説は非常に説得力がある。しかし一方では、どんなにRが飽和しても、ある程度の面積がある光源では描写がそう崩れないという反証もある。例えば太陽をモロに入れて撮影しても、SD10 は自然な写り方をする。ともあれ実験することにした。

 

フィルターでRを減光

 実験は、Rを減光するフィルターを使用して撮影することでRの飽和を押さえ、現像時にホワイトバランスを調整して元に戻すというものである。最初はブルーエンハンサーを使ったが、ゼラチンフィルターの方が特性が良さそうなのでフジの CC C50 を2枚重ねして使用した。
 まずは室内で発泡スチロール板を撮影しチェック。
 F5.6 1/5s で思い切りピンボケさせ手揺れも加えて画面一面が白で埋まるように撮った。
 CC C50 を2枚重ねして撮ると、Rだけが大きく減光している。
 これは、フィルター無しで撮ったもの。
 フィルター付きで撮ってホワイトバランスを調整したもの。
 上と比較すると、露出を 1/3 段アップさせればほぼ明るさは合いそうである。

 

実写

 さっそく電飾で実験。フィルター付きは露出を 1/3 段アップさせた。ホワイトバランス修正済。
 18-50mm F3.5-5.6 DC の @34.0mm で、すべて F8.0 になっている。
 中央部分切り出し。画像をクリックすると、ピクセル等倍になります。

ノーマル撮影 フィルター撮影
1秒 1.3秒
2秒 2.5秒
4秒 5秒

 露出5秒でいきなりノイズ増大しまくりなのに驚く。4秒とは全然違う!
 しかも、ノイズが増えると同時に、なぜかピンクの縁取りが一掃されている?
 赤いネオンの飛び具合を見ると、ノーマルの1秒とフィルターの5秒でほぼ同じ。CC C50 の2枚重ねで赤飛びを4〜5倍は押さえられている(フィルターの特性通り)。
 今回はすべて ISO100 で撮影したが、フィルターを使用した上でISO感度上げたらどうかとか、電飾を綺麗に写すためにあれこれ実験すると更に面白いあるいは実用的な現象が見つかるかもしれない。

一番マシなフィルター付き2.5秒のフルサイズ画像 (931 KB)

 フィルターを使用して適切な露出を掛ければ、かなり電飾がマトモに撮れる。しかしそれでもピンクの縁取りは絶滅していない。SD10 の夜景だけ見てるとフィルターの改善効果は絶大である。しかしベイヤーな普通のデジカメなら更に完璧に写るのであり、そこまで苦労して無理に SD10 で電飾撮らなくても良いんじゃないか?と思える。

 フィルター付き5秒露出はピンクの縁取りこそ絶滅したが、Bが0になる派手な色飛びも発生していた。R飽和でGが0化するように、R減光してもG飽和でBが0化という同様の現象が発生したのかもしれない。
 電飾なんてベイヤーで撮ってシャープネス掛けたって破綻するものじゃなし、フォビオンの無駄使いって気もする。素直に D60 でも使って撮った方がずっと楽だし簡単に良い仕上がりが得られるだろう。

 それでも他にデジカメ無いとか、どうしてもフォビオンで撮りたい!って場合は、ゼラチンフィルターが1枚1000円ほどなので、試してみる価値はあるだろう。使用することでかなり破綻が押さえられる。
 23ミリより34ミリの方が明らかに破綻が少ないので、光点が大きくなるよう余り広角にしないのも効果的かもしれない。しかしそれはまた表現の幅を狭めることにもなってしまう。

一応の結論: 電飾は素直に他のデジカメで撮れ (^_^;)

 

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